「子供を大学に進学させたいけどお金が足りない」「奨学金って借りないといけないの?」
ひとり親家庭が使える教育費の支援制度は、実は思っているよりたくさんあります。しかも返済不要のものや、条件によっては授業料が実質無料になるものも存在します。
知っているかどうかで数十万円単位の差が出ることもあるため、この記事でしっかり確認しておいてください。
支援制度は大きく3種類
① もらえる制度(給付型・返済不要)
② 借りられる制度(貸付型・低利子または無利子)
③ 授業料が安くなる制度(減免・支援金)
それぞれ詳しく解説します。
① もらえる制度(給付型・返済不要)
就学援助制度
経済的な理由で就学が困難な小中学生の保護者を対象に、学校生活にかかる費用の一部を援助してくれる制度です。
援助される費用の例
・給食費
・学用品費
・修学旅行費
・体育実技用具費
・クラブ活動費
・医療費(学校病)
学校や市区町村の教育委員会に申請します。「うちは対象外では?」と思っている方も、意外と所得の基準が幅広く設定されています。まず確認してみることをおすすめします。
高等学校等就学支援金
高校の授業料を国が支援してくれる制度です。2026年度から大きく変わりました。
2026年度からの主な変更点
・所得制限が撤廃され、全世帯が対象に
・国公立高校:授業料相当額を支援
・私立高校の支給上限:年457,200円に引き上げ
「高校無償化」と聞くと全部タダになるイメージがありますが、施設費・教材費・制服代・部活費などは別途かかります。「授業料」を支援してくれる制度、という理解が正確です。申請は入学後に学校を通じて行います。
高校生等奨学給付金
就学支援金が「授業料」を対象にしているのに対して、こちらは授業料以外の教育費(教材費・学用品費・通信費など)を支援してくれる制度です。
2026年度から対象が中所得世帯(年収目安490万円程度まで)に拡充される方向で見直しが進んでいます。「非課税世帯じゃないから関係ない」と思っていた方も、確認する価値があります。
ローソン×全母子協「夢を応援基金」
民間の給付型奨学金として、ひとり親家庭向けに特化した制度があります。
対象:中学3年生または高等学校等1〜3年生
支給額:月額30,000円(年間36万円)
返済:不要(他の奨学金との併用も可)
募集人数:全国400名
年に1回の募集で申請期間が限られているため、情報を見逃さないことが重要です。学校の先生やスクールカウンセラーに「ひとり親向けの奨学金情報はありますか?」と聞いてみることをおすすめします。
JASSOの給付型奨学金
日本学生支援機構(JASSO)が運営する給付型奨学金です。ひとり親家庭など生計維持者が1人の世帯は、通常より有利な条件で支給を受けやすくなっています。
大学・専門学校・短期大学などへの進学を考えている場合、高校3年生になる前から情報収集を始めることをおすすめします。
② 借りられる制度(貸付型)
母子父子寡婦福祉資金
ひとり親家庭を対象にした公的な貸付制度です。民間の教育ローンと比べると、金利の差は大きいのが特徴です。
主な資金の種類:
・修学資金:高校・大学・専門学校の学費
・就学支度資金:入学時の制服代・教材費・入学金
・生活資金:生活を安定させるための資金
金利:
・連帯保証人ありの場合:無利子
・連帯保証人なしの場合:年1.0%程度
返済期間:最長20年以内
申請から貸付までに時間がかかる場合があるため、「必要かもしれない」と思った時点で早めに自治体の福祉課に相談することをおすすめします。
看護・介護系の専門学校を目指す場合の特別制度
都道府県の社会福祉協議会が実施している制度で、保育士・介護福祉士・社会福祉士などを目指す学生に学費や準備金を無利子で貸し付ける制度があります。最大の特徴は卒業後に同じ地域で一定期間働くと返還が免除される(実質無料になる)という点です。資格取得と就職をセットで考えている方には特に有利な制度です。
③ 授業料が安くなる制度
高等教育の修学支援新制度(大学無償化)
大学・短期大学・専門学校などを対象に、授業料の減免と給付型奨学金を組み合わせた制度です。
ひとり親家庭など生計維持者が1人の場合、通常の世帯より資産の基準がやや緩やかに設定されているため、対象になりやすい傾向があります。
2025年度からは子供が3人以上いる多子世帯や理工農系学部は所得制限なしで支援が受けられるようになりました。
JASSOのサイトにある「進学資金シミュレーター」を使うと、おおよそ対象になるかどうかの目安を確認できます。
申請しないともらえない
これらの制度に共通して言えるのは、申請しなければ一切支給されないということです。
役所や学校から「あなたはこの制度が使えますよ」と積極的に教えてくれることはほとんどありません。知っているかどうかで、年間数万円から数十万円単位の差が出ることがあります。
特に以下のタイミングで忘れずに確認してください。
・離婚したとき(就学援助・ひとり親控除など)
・子供が小学校に入学するとき(就学援助)
・子供が高校に入学するとき(就学支援金・奨学給付金)
・子供が大学進学を考え始めたとき(給付型奨学金・大学無償化)
制度をまとめた一覧表
| 制度名 | 対象 | 種類 | 金額の目安 |
|---|---|---|---|
| 就学援助 | 小中学生 | 給付 | 給食費・学用品費など |
| 高等学校等就学支援金 | 高校生 | 給付 | 授業料相当額 |
| 高校生等奨学給付金 | 高校生 | 給付 | 授業料以外の費用 |
| ローソン×全母子協奨学金 | 中3・高校生 | 給付 | 月3万円(年36万円) |
| JASSO給付型奨学金 | 大学生等 | 給付 | 世帯収入・区分による |
| 母子父子寡婦福祉資金 | ひとり親全般 | 貸付 | 無利子または年1% |
| 大学無償化 | 大学生等 | 減免 | 授業料・入学金の全額または一部 |
よくある質問
Q. 複数の制度を同時に使えますか?
A. 基本的には使えます。例えばローソンの奨学金は「他の奨学金との併用可」と明記されています。ただし制度によっては他の給付との調整が行われる場合もあるため、申請前に確認してください。
Q. 所得が少し高いと全部対象外になりますか?
A. そうとは限りません。2026年度から高等学校等就学支援金は所得制限が撤廃されたなど、対象が広がっている制度もあります。「どうせ対象外」と決めつけず、一度確認してみることをおすすめします。
Q. 手続きが複雑でよくわかりません。
A. 市区町村の窓口やひとり親家庭支援センターに相談すれば、自分に合った制度を一緒に確認してもらえます。一人で抱え込まずに相談してみてください。
まとめ
- ひとり親家庭が使える教育費支援制度は思っているより多い
- 給付型(返済不要)の制度から優先的に確認する
- 高校の就学支援金は2026年度から所得制限が撤廃された
- ローソン×全母子協の奨学金は年1回募集・月3万円給付
- 母子父子寡婦福祉資金は無利子または低利子で借りられる
- 大学無償化はひとり親世帯が対象になりやすい
- 申請しないともらえない・知っているかどうかで大きな差が出る
進学の費用が心配な場合は、まず市区町村の窓口やひとり親家庭支援センターに相談してみてください。

