養育費の相手の年収がわからない時の対処法【賃金センサスで推定する方法】

養育費取決め

「相手が源泉徴収票を見せてくれない」「相手の年収がわからないと養育費の話し合いができない」

養育費を決める際、相手の年収がわからないと算定表に当てはめることができず、話し合いが進まないことがあります。

実はこの場合でも、公的な統計データを使って相手の年収を推定する方法があります。この記事ではその方法をわかりやすく解説します。

なぜ相手の年収が必要なのか

養育費の金額は基本的に裁判所の算定表をもとに、支払う側・受け取る側それぞれの年収と子供の人数・年齢で決まります。

そのため相手の年収が不明だと、適正な養育費の金額を算出できません。


相手が源泉徴収票を見せてくれない場合

まず以下の方法で年収を確認できないか試してみましょう。

・源泉徴収票・給与明細の提出を求める
・確定申告書の写しを求める(自営業の場合)

しかし相手が協力的でない場合、これらの書類が手に入らないことも多くあります。


実務で使われる「賃金センサス」による推定方法

賃金センサスとは

厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」のことを、実務では「賃金センサス」と呼びます。性別・年齢・学歴・雇用形態などの属性別に、平均的な賃金の統計データが毎年公表されています。

実務での使われ方

相手の年収が不明な場合、この賃金センサスのデータを使って、相手の最終学歴・年齢・性別などから平均的な年収を推定し、養育費の話し合いの土台にすることができます。

実際にこの方法は家庭裁判所でも、収入資料が得られない場合の年収算定の一つの方法として使われています。

ただしこれはあくまで統計上の推定値であり、相手の実際の年収そのものではありません。相手との交渉時には、最終的に直近の源泉徴収票等を提出してもらい、その金額で試算し直すことになります。

推定額を示すメリット

「いくらかわからないので決められない」という状態のまま話し合いを止めてしまうより、まず推定の年収をもとに「このくらいの金額をお願いしたい」と具体的な数字を示す方が交渉は進みやすくなります。

相手も「適当に高い金額を言われている」と感じるより、根拠のある数字を示された方が、話し合いに応じやすくなる傾向があります。


賃金センサスの確認方法

厚生労働省のサイトで「賃金構造基本統計調査」を検索すると、最新のデータを確認できます。

e-Stat(政府統計の総合窓口)
https://www.e-stat.go.jp/

性別・年齢階級別の平均年収(所定内給与+年間ボーナス等)が掲載されています。相手の性別・推定年齢に近い数値を確認することで、おおよその年収の目安をつけることができます。


自営業者の場合の注意点

自営業者や会社役員の場合、賃金センサスの平均賃金とは状況が異なります。

実務では以下のような点も争われることがあります。

・収入を一時的に下げて申告している
・会社の経費として私的な支出を
 計上している
・確定申告書だけでは実態の生活水準と合わない

このような場合は、賃金センサスよりも、相手の生活実態(自宅・車・交際費など)から収入を推測する方法が使われることもあります。


推定年収をもとに進める手順

STEP1 賃金センサスで相手の年齢・性別から推定年収を確認する

STEP2 推定年収と自分の年収・子供の情報を養育費算定表に当てはめて目安の金額を計算する
    (当サイトの計算ツールも活用できます)

STEP3 その金額をもとに相手に具体的な金額を提示して話し合う

STEP4 相手から実際の収入資料が出てきたらその金額で再計算する

STEP5 話し合いで決まらない場合は調停を申し立てる

調停になった場合

調停や審判に進んだ場合、裁判所から相手に収入資料の提出を求めることができます。

相手が提出を拒否したり、不自然に低い収入を主張したりする場合、こちらが事前に賃金センサスなどをもとに推定年収を示しておくことで、主張の根拠として活用できます。


よくある質問

Q. 賃金センサスで計算した金額で必ず合意できますか?
A. あくまで話し合いの土台・目安です。相手が実際の収入資料を提出すれば、その金額で再計算することになります。ただし相手が資料を出さない場合、推定額が一つの基準になることもあります。

Q. 相手が自営業で確定申告書も見せてもらえない場合はどうすればいいですか?
A. まず賃金センサスで一般的な年収を推定し、それをもとに話し合いを進めるのが一つの方法です。話し合いで解決しない場合は調停を申し立て、裁判所を通じて資料の提出を求めることができます。

Q. 自分で賃金センサスのデータを見るのは難しそうです。
A. e-Statというサイトで公開されていますが、見方が複雑な場合は弁護士に相談すると、相手の状況に応じた推定年収を示してもらえます。


まとめ

  • 相手の年収がわからないと養育費の算定が難しい
  • まずは源泉徴収票・確定申告書・課税証明書の取得を試みる
  • それでも不明な場合は厚生労働省の「賃金センサス」で推定できる
  • 推定年収はあくまで目安で、実際の資料が出れば再計算する
  • 推定の金額でも具体的な数字を示すことで交渉が進みやすくなる
  • 話し合いで決まらない場合は調停で資料提出を求めることができる

相手の年収がわからずに話し合いが止まっている場合も、諦める必要はありません。まず専門家に相談してみてください。

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