養育費調停の流れと期間【申し立てから解決まで】

養育費取決め

「相手と養育費について話し合えない」
「養育費調停はどうやって申し立てるの?」
「調停はどのくらいの期間がかかる?」

養育費について父母だけで話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の養育費請求調停を利用する方法があります。

調停では、裁判官や調停委員を介して、養育費の金額や支払期間などについて話し合います。

この記事では、養育費調停の申し立てから調停成立、審判に移行する場合まで、手続きの流れや費用、準備しておきたいことをわかりやすく解説します。

養育費調停とは

養育費調停は、子どもの父母の間で養育費について話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所で解決を目指す手続きです。

調停では、裁判官と調停委員で構成される調停委員会が中立的な立場から双方の事情や意見を聞き、提出された収入資料なども確認しながら話し合いを進めます。

裁判のように一方が勝ち、一方が負ける手続きではなく、まずは双方の合意による解決を目指します。

養育費調停を利用するのはどんなケース?

たとえば次のような場合に利用されます。

  • 離婚時に養育費を取り決めなかった
  • 養育費について話し合いがまとまらない
  • 相手が養育費の支払いを拒否している
  • 口約束だけで、改めて法的な取り決めをしたい
  • 一度決めた養育費の増額や減額を求めたい
  • 相手と直接話し合うことが難しい

なお、すでに調停調書や審判書などで養育費が決まっているのに支払いがない場合は、新たに養育費を決める調停ではなく、履行勧告や強制執行など別の手続きを検討することがあります。

養育費調停の流れ

STEP1 家庭裁判所に申し立てる

原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てます。

申立てには、申立書のほか、子どもの戸籍謄本や収入に関する資料などが必要になります。

裁判所によって必要書類や郵便料が異なる場合があるため、申立先の家庭裁判所の案内を確認しましょう。

主な必要書類

一般的には、

  • 申立書
  • 対象となる子どもの戸籍謄本
  • 申立人の収入資料
  • 源泉徴収票
  • 給与明細
  • 確定申告書など
  • 収入印紙
  • 連絡用の郵便料

などが必要になります。

養育費請求調停の申立手数料は、対象となる子ども1人につき収入印紙1,200円です。

郵便料は裁判所によって異なります。

STEP2 第1回調停期日

申立てが受理されると、家庭裁判所から第1回調停期日の連絡があります。

申立てから最初の期日までにかかる期間は、裁判所の混雑状況や事案によって異なります。

調停当日は、調停委員が申立人と相手方からそれぞれ事情を聞きます。

一般的には双方が別々の待合室を利用し、交互に調停室へ入って話をする形で進むことが多いですが、裁判所や事案によって進行方法は異なります。

そのため、「必ず相手と一度も顔を合わせない」とまでは言い切れません。

DVなど相手との接触に不安がある場合には、申立時などに裁判所へ伝えておきましょう。

STEP3 養育費の金額や条件について話し合う

調停では、父母双方の収入資料などを確認しながら養育費について話し合います。

主に、

  • 毎月の養育費の金額
  • いつから支払うか
  • いつまで支払うか
  • 毎月の支払日
  • 振込方法
  • 進学や医療など特別な費用の負担

などについて話し合います。

養育費の金額を検討する際には、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」が広く参考にされています。

ただし、算定表だけで必ず金額が決まるわけではなく、個別の事情が考慮される場合もあります。

STEP4 必要に応じて調停期日を重ねる

1回の調停で合意できない場合には、次回期日を設けて話し合いを続けます。

調停期日の間隔や回数は事件によって異なります。

そのため、

「必ず月1回」
「3回で終わる」
「半年以内に終わる」

などと決まっているわけではありません。

双方の収入資料がすぐにそろうか、養育費以外にも争点があるか、相手が出席するかなどによって期間は変わります。

STEP5 合意できれば調停成立

双方が養育費の内容に合意すると調停が成立し、その内容が調停調書に記載されます。

調停調書は、単なる当事者間の合意書とは異なり、一定の手続きを経て強制執行の根拠にすることができます。

そのため、その後相手が取り決めた養育費を支払わない場合には、履行勧告や給与・預貯金などに対する強制執行を検討できます。

合意できなければ審判へ

養育費請求調停で話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合には、原則として審判手続に移行します。

改めて養育費の審判を申し立て直す必要はなく、裁判所が双方の収入や子どもの状況、提出された資料などを踏まえて判断します。

審判内容に不服がある場合には、所定の期間内に即時抗告ができる場合があります。

養育費調停はどのくらい期間がかかる?

養育費調停に「必ず○か月で終わる」という決まりはありません。

比較的早く合意できるケースもあれば、

  • 相手が出席しない
  • 収入資料が提出されない
  • 双方の希望額に大きな差がある
  • 特別な教育費や医療費などについて争いがある
  • 審判まで進む

などの事情によって長くなることもあります。

そのため、インターネット上の平均的な期間だけを見て、「自分も3か月で終わる」などと考えない方がよいでしょう。

養育費調停にかかる費用

自分で申し立てる場合、裁判所に支払う申立費用自体は大きな金額ではありません。

主な費用は、

費用内容
収入印紙子ども1人につき1,200円
郵便料裁判所によって異なる
戸籍謄本など必要書類の取得費用

です。

弁護士に依頼する場合には、これとは別に弁護士費用がかかります。

実務で感じた養育費調停のリアル

相手が調停に来ないケースもある

私が養育費に関する実務に携わる中では、相手が調停期日に出席しないケースもありました。

相手が来なければ、その場で話し合いによる合意を成立させることは難しくなります。

養育費請求調停が最終的に不成立となれば審判に移行し、裁判所が養育費について判断することになります。

ただし、審判で養育費が決まったことと、実際に相手が自発的に支払うことは別問題です。

決められた養育費が支払われない場合には、その後に履行勧告や強制執行などを検討することがあります。

調停委員との相性を気にしすぎない

調停では調停委員に自分の事情を説明するため、話しやすいと感じることもあれば、厳しく質問されているように感じることもあります。

ただし、調停委員は一方の味方ではなく、中立的な立場で双方から事情を確認します。

相手への不満だけを話すのではなく、

  • 自分の収入
  • 子どもの生活状況
  • 希望する養育費
  • その金額を希望する理由

などを整理して伝えることが大切です。

養育費調停の前に準備しておきたいこと

① 収入資料を準備する

まず自分の収入がわかる資料を準備します。

たとえば、

  • 源泉徴収票
  • 給与明細
  • 確定申告書
  • 課税証明書

などです。

相手の収入資料を持っている場合には、それも整理しておきましょう。

② 養育費の目安を確認する

調停前に、自分の場合の養育費の目安を確認しておくと話し合いがしやすくなります。

当サイトの「養育費かんたん計算ツール」でも、父母双方の年収や子どもの年齢などから目安を確認できます。

ただし、計算結果はあくまで目安です。

③ 子どもにかかる特別な費用を整理する

私立学校の学費や高額な医療費など、通常の生活費とは異なる事情がある場合には、実際にかかっている金額がわかる資料を準備しておくとよいでしょう。

④ 希望する内容を整理する

毎月の金額だけでなく、

  • 支払開始時期
  • 支払終了時期
  • 支払日
  • 振込先
  • 特別費用の負担

についても考えておきましょう。

弁護士に依頼した方がいい?

養育費調停は、必ず弁護士に依頼しなければならない手続きではありません。

自分で申し立てて進めることもできます。

一方、

  • 相手との争いが大きい
  • 相手に弁護士がついている
  • 収入や財産関係が複雑
  • 養育費以外にも争いがある
  • 自分だけで手続きを進めることに不安がある

といった場合には、弁護士への相談を検討してもよいでしょう。

弁護士を代理人にした場合でも、調停期日に本人の出席を求められることがあります。

そのため、「弁護士に頼めば一度も裁判所に行かなくていい」とは限りません。

2026年4月から養育費の回収制度が変わった

2026年4月1日から、養育費を確保するための制度が拡充されました。

父母間で養育費について書面による取り決めがある場合など、一定の要件を満たす養育費については、法定の先取特権を利用して相手の財産から回収できる制度があります。

この先取特権による回収については、子ども1人につき月額8万円が上限とされています。

ここで注意したいのは、

「養育費は月8万円までしか請求できない」
「強制執行できる養育費は全部8万円まで」

という意味ではないことです。

8万円は、この新しい先取特権を利用する場合の上限額です。

また、2026年4月1日以降に離婚し、養育費について具体的な取り決めがない場合には、一定の要件のもとで子ども1人につき月額2万円の法定養育費を請求できる制度も始まっています。

よくある質問

Q. 相手が調停に来なかったら養育費は決められませんか?

相手が出席しない場合、その場で話し合いによる合意を成立させることは難しくなります。

しかし、養育費請求調停が不成立になった場合には審判手続に移行し、裁判所が養育費について判断することになります。

Q. 調停では相手と顔を合わせますか?

一般的には双方から別々に事情を聞きながら進めることが多いですが、手続きの進行によっては同席する場面が生じる可能性もあります。

相手との接触に不安がある場合には、事前に裁判所へ相談してください。

Q. 養育費調停は自分だけで申し立てられますか?

はい。弁護士への依頼は必須ではありません。

裁判所のウェブサイトには申立書や記載例も公開されています。

Q. 調停で決まった養育費を払ってもらえない場合は?

調停調書などに基づいて、履行勧告や強制執行を検討できます。

給与や預貯金などを対象とした差し押さえが可能な場合があります。

Q. 一度調停で決めた養育費は変更できませんか?

その後に父母の収入や子どもの状況などに大きな変化があった場合には、養育費の増額・減額について話し合ったり、家庭裁判所の調停を利用したりすることができます。

まとめ

養育費について父母だけで話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の養育費請求調停を利用できます。

調停では、双方の収入や子どもの状況などを確認しながら、裁判官や調停委員を介して養育費について話し合います。

合意できれば調停調書が作成され、調停が不成立になった場合には原則として審判に移行します。

調停にかかる期間は事案によって異なるため、「必ず○か月で終わる」というものではありません。

申立て前には、収入資料や希望する養育費、支払期間などを整理しておくとよいでしょう。

養育費調停は自分で申し立てることもできます。手続きが複雑な場合や相手との争いが大きい場合には、必要に応じて弁護士への相談も検討してください。

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