「別居したいけど生活費が心配」「別居中の生活費は誰が払うの?」
そんな悩みを抱えているシングルマザー予備軍の方は多いと思います。
実は別居中でも相手に生活費を請求できます。この「婚姻費用」という制度を知っておくと、経済的な不安を解消して離婚に向けて動き出せます。
婚姻費用とは
婚姻費用とは、別居中の夫婦の間で、夫婦や未成熟子の生活費などの婚姻生活を維持するために必要な一切の費用のことです。
わかりやすく言うと、離婚が成立するまでの間、相手に請求できる生活費のことです。
婚姻費用に含まれるもの
・自分の生活費
・子供の生活費
・子供の教育費
・医療費
・住居費
誰が誰に請求できるか
婚姻費用は生活水準を維持するために収入の多い側が少ない側に対して支払うのが原則です。夫婦の収入がほぼ同じであっても子どもを引き取って養育している側は相手方に対して婚姻費用を請求できます。婚姻費用には子どもの生活費や教育費も含まれるためです。
婚姻費用の相場
婚姻費用は双方の収入と子供の人数・年齢によって決まります。
子供がいない場合の目安
妻が専業主婦・夫の年収が800万円の場合、婚姻費用の目安は月12万〜14万円です。
子供がいる場合
子供の人数が多く年齢が高いほど婚姻費用は増えます。
2026年4月からの重要な法改正
2026年4月1日以降に生じる婚姻費用等については先取特権が付与されることとなりました。婚姻費用等が支払われなくなったとしても、婚姻費用について取り決めた合意書があれば子ども一人の場合は月額8万円、二人の場合は月額16万円まで公正証書なしで強制執行できるようになりました。
これは大きな改正で、合意書があれば公正証書を作らなくても強制執行できるようになりました。
婚姻費用の請求方法
STEP1 まず相手に直接請求する
話し合いで合意できれば一番スムーズです。合意した内容は必ず書面に残してください。
STEP2 調停を申し立てる
相手が応じない場合は家庭裁判所に「婚姻費用分担請求調停」を申し立てます。
申立先:相手方の住所地の家庭裁判所
申立費用:1,200円程度
必要書類:申立書・戸籍謄本・収入関係書類
STEP3 審判に移行する
調停で合意できない場合は自動的に審判に移行し、裁判所が婚姻費用の金額を決めます。
重要なポイント:早めに請求する
別居が始まったら速やかに婚姻費用を請求すべきです。
婚姻費用は請求した時点から支払い義務が発生するのが原則です。別居してから時間が経つほど過去分の請求が難しくなります。
別居したらすぐに相手に請求するか、調停を申し立てることをおすすめします。
婚姻費用をもらえないケース
以下の場合は婚姻費用の請求が難しくなります。
・自分が不倫をして別居した場合
・収入が相手より多い場合
・双方の収入がほぼ同じで子供がいない場合
婚姻費用と養育費の違い
| 婚姻費用 | 養育費 | |
|---|---|---|
| 時期 | 別居中〜離婚成立まで | 離婚後 |
| 対象 | 自分+子供の生活費 | 子供の生活費のみ |
| 請求相手 | 配偶者 | 元配偶者 |
離婚が成立すると婚姻費用の請求はできなくなり、代わりに養育費の請求に切り替わります。
よくある質問
Q. 同居したまま生活費をもらえない場合も請求できますか?
A. できます。別居していなくても収入のある配偶者が生活費を渡さず生活できない場合、同居のままで婚姻費用の支払いを求めることができます。生活費を渡さないのは民法上の協力扶助義務違反です。
Q. 相手が婚姻費用を払わない場合はどうすればいいですか?
A. 調停調書や審判書がある場合は強制執行ができます。2026年4月以降は合意書があれば月額8万円まで公正証書なしで強制執行できるようになりました。
Q. 婚姻費用はいつまでもらえますか?
A. 離婚が成立するまでもらえます。離婚が成立した時点で婚姻費用の請求権はなくなります。
まとめ
- 婚姻費用とは別居中に相手に請求できる生活費のこと
- 収入の少ない側・子供を育てている側が請求できる
- 別居したらすぐに請求することが重要
- 調停を申し立てることで法的に取り決めができる
- 2026年4月から合意書があれば月8万円まで公正証書なしで強制執行可能
- 離婚が成立すると婚姻費用は終了し養育費に切り替わる
婚姻費用は別居中の生活を守るための大切な制度です。一人で悩まず、まず専門家に相談してみてください。


